彼の指が私の首に触れて、少しひんやりとする。マフラーは、まだ湊斗の体温をほんのり残していた。
「風邪ひくなよ、しずく」
それだけを言い残すと、湊斗はまた練習へと戻っていった。
突然のことに、私はぽかんとその場で立ち尽くしてしまう。
そして顔がカッと一瞬で熱くなり、マフラーのやわらかな感触と、首元に伝わる彼の温かさが、私の心を甘く締めつけた。
「ふふっ、見ちゃった」
隣では、七海がニヤニヤと笑いをこらえているのが見えた。
マフラーから漂う石けんのような爽やかな匂いに、私の胸はさらに高鳴る。
不器用だけど、彼の気遣いが嬉しくて、心いっぱいにじんわりと温かさが広がった。



