最強パティシエは、幼なじみに恋をする



12月に入り、朝夕はひんやりと肌寒いけれど、空は澄み切った青色に輝き、心まで洗われるような日々が続いていた。


ここ最近は、放課後に湊斗のサッカー部の練習を、七海と一緒に見学に行くことが、私の小さな楽しみになっていた。


土の匂いがするグラウンドに立つと、冷たい風が頬を撫でていく。


そのなかで、湊斗が真剣な顔でボールを追いかける姿は、私の目には一段と輝いて見えた。


彼のしなやかな動き、的確なパス。そしてゴールネットを揺らす力強いシュートを見るたび、私は思わず息をのんで見惚れてしまう。


まるで、グラウンドに彼だけがスポットライトを浴びているみたいだった。


休憩時間になり、湊斗が私たちのほうへと歩いてきたときのこと。


湊斗は、遠くで練習しているチームメイトに目を向けた。


「ねぇ、湊斗くん。今日の練習はどう? みんなすごく頑張ってるね!」


七海が声をかけると、湊斗は普段のクールさからは想像できないほど熱を帯びた声で答えた。


「ああ。健太のさっきのパス回しは悪くないけど、もっと前に早くボールを送れば、相手の守りを崩せるはずだ。特に、あの選手の動き出しのタイミングで、一気にゴールに迫るパスを出すんだ!」


彼の目は、情熱的に輝いていて。まるで、グラウンド全体の動きがすべて見えているかのような、鋭い眼差しだった。


そんな湊斗を見て、七海が楽しそうに私に耳打ちしてくる。