最強パティシエは、幼なじみに恋をする



できるだけ表情には出さないようにしていたけれど、わずかな疲れが顔に出ていたのだろうか。


すると、湊斗が突然、私の頭に手を伸ばし、ポンポンと撫でた。その手は、まるで壊れ物を扱うかのように優しい。


「しずく、あまり無理するなよ」

「う、うん」


湊斗の優しい声に、私の心は温かくなった。


彼は、私のどんな小さな変化も見逃さない。疲れていないか、無理をしていないか、いつも気にかけてくれているんだ。


そのさりげない行動に、クラスメイトからも私たちの関係への温かい視線が注がれる。


みんなが私たちのことを、自然に受け入れてくれているのが分かって嬉しくなった。


* * *


放課後。私は湊斗と一緒に、彼の家のケーキ屋さんへと向かった。


私たち二人で、新しいフルーツタルトのレシピを試作するためだった。


営業時間が終わったあとの工房は、学校の家庭科室とは違って、プロの道具がずらりと並び、甘い香りが漂う特別な場所だった。


ここでの練習は、私たちだけが知る秘密の時間みたいに感じられた。


私たちは並んで、お菓子作りを始める。


夢中になってタルトの生地をこねていると、湊斗が突然、私をじっと見つめてくしゃっと顔を崩した。