彼は私のそばに立ち、しばらくみんなとの会話に耳を傾けていた。
「ねえ、篠宮くん。月森さん、今日はなんだか楽しそうだね」
クラスメイトの一人が、湊斗に話しかけた。湊斗は優しい目つきで私を見ながら、ふわりと微笑んだ。
「ああ、そうだな。良かった」
彼の穏やかな声と、私に向けられた視線に、私の胸はキュンと高鳴った。
教室が再びみんなの笑い声に包まれたとき、私はふと、いつもより少しだけ体が疲れていることに気づいた。
マラソン大会での出来事以来、学校生活にも慣れ、力を隠さずに使えるようになった反面、知らず知らずのうちに、体に無理をさせていたのかもしれない。



