「それからずっと、自分が情けなくて、誰にもそのことを話せなかったわ。いつも“何でも完璧にこなさなければならない”って、自分で自分を縛っていたから。周りのみんなが私をどう見ているか、いつもそればかり気になってしまって……」
白鳥さんの瞳から、ついに大粒の涙がこぼれ落ちた。ポロポロと流れ落ちる涙が、彼女の頬を濡らしていく。
その姿は、まるで小さな子どもみたいだ。
完璧だと思っていた白鳥さんの、初めて見せる弱い姿に、私の胸は締めつけられる。
まるで彼女の心の痛みが、私にも伝わってくるようだった。
「うっう、ごめんなさい……」
震える白鳥さんの肩に、七海がそっと手を置いた。
「でも、月森さんは……自分の隠してたすごい力を、みんなの前で使って、たくさんの人を助けたわよね?」
白鳥さんは、ふるふると首を横に振ると、深く息を吸い込む。そして、潤んだ瞳で真っ直ぐ私の目を見つめた。
「マラソン大会で、あのゴールゲートが倒れてきたとき、私は何もできなかった。ただ遠くから、見ているだけだった。だけど、あなたは違ったわ。真っ先に駆けつけて、自分の弱点だと思っていた力で、みんなのことを守って……私には、それがとっても眩しく見えたの」
白鳥さん……。
「だから、私もあなたみたいに、これからは自分の弱さも、もっと受け入れていきたいって思ったわ」
白鳥さんの目には、今までのような隙のない表情はなく、素直な感情が宿っていた。
「私は、あなたの力は、ただすごいだけじゃなくて、誰かを守るための『強さ』なんだって思ったの」
まさか、あの白鳥さんにそんなふうに言ってもらえるなんて。



