『しずく。俺と付き合って。ずっと俺の隣に、いて欲しい』
あの日の湊斗の真っ直ぐな言葉が、私の凍りついた心を温かく溶かしてくれた。
両想いとなった私たちは、恋人同士として、新しい一歩を踏み出した。
湊斗と恋人同士となってからは、彼がいつもそばにいてくれる。
私が少しでも不安そうな顔をすれば、すぐに気づいて、そっと隣に寄り添う湊斗。
その温かさに、私はもうひとりじゃないんだって、心強い味方がいてくれるんだって、思えるようになった。
そのおかげで、私は自分の怪力を隠すのをやめ、少しずつみんなにもオープンにできるようになった。
最初は戸惑っていたクラスメイトたちも、少しずつ私の力に対する見方を変え始めていた。
湊斗がいつも私の隣で、当然のように私を支えてくれて。
私も普段と変わらず接して、時には怪力で困っている人を助ける姿を、クラスのみんなは静かに見つめていた。
そんなある日。美術の授業で、大きなイーゼルが倒れてしまったときのこと。
私は誰よりも早く手を伸ばして、片手でひょいっと持ち上げて、イーゼルを元の場所に戻した。



