口内に広がるフルーツの甘酸っぱさと、サクサクの生地。
湊斗が私を思って作ってくれたタルトは、口いっぱいに広がる、温かな味わいだった。
「……美味しい」
甘くて優しい味に、心が少しだけ解けていくのを感じる。
「そうか、良かった。もっと食べろよ」
ホッとしたように微笑む湊斗。
私は一口、二口と、続けてタルトを頬張る。
湊斗の真心が、そのままタルトに込められているようで。
温かいものが、私の心にも少しずつ広がっていく。こんなにも優しい気持ちになったのは、いつぶりだろう。
タルトを半分ほど食べ終えた頃、私は、ふと顔を上げた。
美味しいタルトのおかげで、少しだけ心が落ち着いた気がする。
私は、湊斗の整った顔を見つめる。
すると、彼もまた、心配そうに私のことを見ていた。
私が唇を開きかけたとき。
「しずく……」
湊斗も静かに、だけど力強く話し始めた。



