最強パティシエは、幼なじみに恋をする



そのときから俺は何となく、しずくの“人とは違う力”に気づいていた。


だけど、そのことは決して口には出さなかった。


俺がしずくの力に気づきながらも、今まで知らないフリをしてきたのには理由がある。


俺は知っていたんだ。しずくがその力を、どれほど隠したがっていたのか。


周りから『怪物みたい』と言われ、友達が彼女から離れていったことで、あいつがどれほど深く傷ついたか。


そして、その日以来、しずくが自分を「普通の子」として必死に振る舞ってきたことを……。


だから、俺はあえて知らないフリをした。


あいつが自分の力と向き合い、受け入れる準備ができるまで、そっと見守り、陰ながら支えることを選んだんだ。


だって、俺にとっては、あいつがどれだけ怪力だろうと、しずくはしずくだ。


昔からずっと、大切な幼なじみに変わりはなかったから。



「なあ、湊斗。お前さ、月森さんのこと、どう思ってるんだ?」


昔のことを思い返していると、健太が突然、からかうような口調で聞いてきた。


「……は? お前、いきなり何言ってんだよ」


俺は思わず、健太を睨みつける。