最強パティシエは、幼なじみに恋をする



「うう……ひっく」


私は自分の部屋からほとんど出ず、来る日も来る日も泣き続けた。布団にくるまり、暗い部屋でうずくまる。


布団の毛布が、まるで世界から私を隠してくれる唯一の場所みたいに感じられた。


カーテンを閉めきった部屋はいつも暗く、窓の外の明るさが遠い夢の景色みたいに見えた。


目を閉じれば、幼いあの日の友達の大きく見開かれた目が、まぶたの裏に焼きついている。


『しずくちゃん、怪物みたい』


その言葉が、耳の中で何度も繰り返されて、私の心をガリガリと削る。


もう誰にも会いたくない。家の外になんて出たくない。


──ピコン、ピコン!


「ひっ!」


ベッドでうずくまっていたところ、突然鳴ったスマホの音に肩がピクッと跳ねた。


……七海からだ。


震える指でスマホのロック画面を開くと、そこには私を気にかけてくれる、たくさんのメッセージが並んでいた。


【しずく、大丈夫?】

【家まで、会いに行ってもいいかな?】


私の秘密を知っている七海は、私がどれほど苦しんでいるか、きっと全部お見通しなんだ。


彼女の優しさが、胸の奥にそっと触れるけれど……今はまだ、誰にも会いたくなかった。