* * *
マラソン大会での出来事は、あっという間に学校中に広まった。
「月森さん、人間じゃないみたい」
「まさか、あんな力持ちだなんて……」
「なんか怖くない?」
みんなのヒソヒソ声が、耳の奥で響く。教室でも廊下でも、私を見る目がソワソワと落ち着かない。
まるで、今まで知っていた『月森しずく』じゃない、何か得体の知れないものを見るような、冷たい視線だった。
その視線が私の心に突き刺さり、体が石のように硬くこわばった。
お腹がギューッと縮こまって、膝も震える。
学校にいるの、嫌だな。
毎日、突き刺さるような視線に晒され、学校に行きたくない気持ちは、日に日に大きく膨らんでいった。
そして、マラソン大会から数日後。私はついに、家に閉じこもるようになってしまった。



