最強パティシエは、幼なじみに恋をする



冬の澄み切った青空の下。


校庭には、たくさんの生徒の元気な声が響き、白い息が湯気のように空に上がっていた。


今日は、年に一度のマラソン大会。クラス対抗で順位を競い合う、大事な大会だ。


グラウンドのスタートラインには、私と同じように、ドキドキとワクワクがごちゃまぜになった生徒たちが、ぎゅうぎゅうに並んでいる。


私は、七海と一緒にそこに立った。


白い息を吐きながら、顔に当たる風が少しだけ冷たい。


心臓はドッキンドッキンと早打ちして、足の裏にはグラウンドの土の感触がしっかり伝わってくる。


「頑張れ、私……!」


少しでも緊張を吹き飛ばそうと声を出しながら、私はこれまでの練習を思い出す。


ひとりでグラウンドを走ったあの日は、息が苦しくて、足が鉛みたいに重たかった。でも、あの時間は決して無駄じゃなかったはずだ。


放課後、湊斗が隣で一緒に走ってくれたこと。


『しずく、目線は真っ直ぐ。地面を見るな』

『呼吸は吐くほうを長くするんだ』


真剣な湊斗の声が、今もまるで耳元で聞こえるみたいだ。


それから、湊斗が私のために焼いてくれた桜の形のクッキー。優しい甘さが、冷えた体にじんわりと染み渡ったっけ。


あのとき湊斗が私にくれた、たくさんの温かい想いを今、走る力に変えよう。


「位置について、よーい……」


──パーン!


大きな音と同時に号砲が鳴り響き、みんなが勢いよく走り出した。


私も自分のペースを守りながら、ゆっくりと走り始める。