最強パティシエは、幼なじみに恋をする



「そうだ……湊斗だったら、何か知ってるかも」


私がポツリとつぶやくと、七海がパッと目を輝かせた。


「あっ、それ良いね! 湊斗くんなら、サッカー部のレギュラーで運動神経も良いし。何かコツを知ってるかも」


放課後。さっそく私は、湊斗に聞いてみることにした。


ちょうどサッカー部の練習が終わったらしく、湊斗はグラウンドの隅でひとり、体をほぐすようにストレッチをしているところだった。


彼はいつも、部の練習後にも丁寧にクールダウンをしていることを、私は知っていた。


「湊斗、あの……ちょっと、聞きたいことがあって」


私が声をかけると、彼はスッと振り返り、表情をほとんど変えずにこちらを見つめた。

その真っすぐな瞳に、私の心臓はドキンと小さく跳ねる。


「マラソン大会のことで、ペース配分のコツとか、何か知ってるかなって……」


私がそう言うと、湊斗は少し考え込むように顎に手をやった。


「……まぁ、少しは」


短く答えると、湊斗は立ち上がり、私に向き直った。


「俺はこのあと、少し体を動かすから。良かったら、しずくも一緒に走るか?」

「えっ!?」