最強パティシエは、幼なじみに恋をする



「いってきまーす」


朝食を終えた私は、駆け足で家を出る。


ふと見上げた空は、まだ夏の雲が浮かんでいるけれど。どこか涼しい風が吹いている気がする。


家から歩いて15分ほどで、校門が見えてきた。だんだん賑やかになる声に、自然と足取りが速くなる。


「おはよー!」

「久しぶり~!」


あちこちで再会を喜ぶ声が飛び交い、教室はにぎやかな笑顔でいっぱいだ。


キーンコーン……


私も仲良しのクラスメイトと夏休みの思い出を話しているうちに、あっという間にチャイムが鳴った。


放課後。家に帰ろうと、下駄箱で靴を履き替えていると。


「しずくー!」


背後から、明るい声が聞こえてきた。


振り返ると、親友の森谷(もりや)七海(ななみ)が、キラキラした笑顔でこちらに駆け寄ってくる。


七海は、明るい茶色のロングヘアをいつも高めの位置でポニーテールにしていて、流行のファッションにもすごく敏感。


そんな彼女の元気いっぱいの声は、いつも私の心をパッと明るくしてくれるんだ。