私が恐る恐る、顔を上げると。
「あの書棚を動かせるなんて! ほんとすごいよ、しずく……!」
七海は私の顔を見て、感極まったように両手をぎゅっと握りしめた。
「ありがとう、しずく。本当にありがとう!」
そして七海は、正面からぎゅっと私を抱きしめてくる。
「えっ。七海……私のことが怖くないの?」
思わず、そう尋ねてしまった。
「え? 怖いってどうして?」
首を傾げる七海。
「いや……みんなが持ち上げられない書棚を、私がひとりで持ち上げたりしたから」
「怖くなんてないよ。むしろ、大尊敬!」
彼女の瞳は、キラキラと輝いている。
「それに……しずくは親友でしょう?」
『しずくは親友』
七海の言葉が、私の心に深く響く。
「しずくがそんなにも力もちだなんて、正直びっくりしたけど。考えてみれば……」
七海は目を丸くして、私の腕を見つめた。



