最強パティシエは、幼なじみに恋をする


ピピピピピ……!


スマホのアラームの音が部屋中に鳴り響き、私はハッと目が覚めた。


「うぅ……もう、朝か……」


カーテンの隙間からわずかに差し込む太陽の光が、夏休みが終わったことを告げている。


ああ、あの自由な毎日が終わってしまったなんて、信じたくない……。


でも、ずっと布団の中でぐずぐずしているわけにもいかない。


今日から2学期。新学期の始まりは、いつも少しだけ憂鬱だけれど。


「よし……がんばろ」


制服に着替えるため、私は重たいまぶたをこすってゆっくりと立ち上がった。


部屋の鏡に映っているのは、肩下くらいの長さの、茶色い髪が少しはねている私。


くりくりとした大きな瞳が特徴で、友達からは「笑顔が可愛いね」って言われることが多いけれど。


怪力を隠すために、外ではついおとなしく振る舞ってしまう。


――今日も、バレないように気をつけなきゃ。