視線を辿ると、そこにいたのはクラスメイトの白鳥さん。
彼女の手には、ピンクのリボンで可愛くラッピングされた、小ぶりの箱が。
白鳥さんは柔らかな笑みを浮かべながら、真っ直ぐ湊斗のほうへ歩いていく。
そして、ベンチで休憩している湊斗の元にたどり着くと、ニコッと微笑んで声をかけた。
「篠宮くん、お疲れ様。これ、差し入れなんだけど、良かったらどうぞ。最近、美味しいって評判のクッキーなの」
白鳥さんは、持っていた箱を両手でそっと湊斗に差し出す。
「え、俺に? サンキュー」
短く答えると、湊斗は白鳥さんから箱を受け取った。
その様子を見ていた私は、なぜか胸の奥がチクリと痛む。
ああ、まただ……。
それはこの前、図書室で感じた説明できないざわめきと、文化祭の準備中、教室で白鳥さんと湊斗の距離が縮まったときに覚えた、あの苦しさと同じ感覚だった。
白鳥さん、やっぱり湊斗のことが好きなのかな……?
白鳥さんの表情は、普段よりも少しだけ優しく、湊斗を見つめる瞳は、どこか熱を帯びているように見えた。
その視線は、まるで湊斗しか見えていないかのように、真っ直ぐだった。
胸の奥からじわじわとこみ上げてくる、痛み。
この感情が何なのか、まだはっきりとは分からなかったけれど。
もしかして……これって、嫉妬……?



