最強パティシエは、幼なじみに恋をする



ちょうどサッカー部の練習が始まったところらしく、グラウンドをサッカーボールが勢いよく転がっていく。


その中心には湊斗がいて、彼はサッカー部のレギュラーとして抜群の動きを見せていた。


湊斗は誰よりも早くボールを追いかけ、チームメイトへと正確なパスを出している。


その真剣な眼差しは、普段のクールな彼とは全く違う、情熱的な輝きを放っていた。


「湊斗、かっこいい……!」


思わず、心の声が口から漏れてしまう。


それは、もう家族のように慣れ親しんだ幼なじみに向けただけの「かっこいい」ではなかった。


私の心の奥で、小さな花がふわりと咲くような、特別な温かさを感じた。


「だよねー! 湊斗くんって、運動神経抜群だもんね!」


七海は、私のつぶやきを聞き逃さなかったらしく、ニヤニヤと楽しそうに私のほうを見てくる。


私は慌てて顔を逸らし、カッと熱くなった頬を隠した。


そのとき。グラウンドの端から、すらりと伸びた影が近づいてくるのが見えた。