最強パティシエは、幼なじみに恋をする



巨大なウェルカムケーキの土台は、木製でずっしりと重い。


大人数で協力して持ち上げていたけれど、つるつるとした床で足元が滑ったのだろう。


「うわっ、傾いた!」

「キャーッ!」


悲鳴のような声が響き、重い木製の土台がぐらつき始めた。


それはあっという間に一気に傾き、ちょうどその真下で、みんなに指示を出していた担任の先生の頭上へと、ものすごい勢いで迫っていく。


先生は、土台の設置位置を確認するためにうつむいたままで、まさかこんな大きなものが倒れてくるなんて、夢にも思っていないようだった。


どうしよう、先生が危ない!


私の頭の中は、真っ白になった。そして考える間もなく、体が勝手に動いていた。


誰にも気づかれないように、私は一瞬で怪力を発揮する。


──ドォォン!!


地鳴りのような重い音が辺りに響き、傾きかけた巨大な土台が、私の両腕の中でピタリと止まった。


両腕にズシンと響く衝撃で、私の足元の床には、わずかにヒビが入ってしまったけれど。


幸い、それを誰かに気づかれることはなかった。


周りのクラスメイトが「先生、大丈夫ですか!?」と、慌てて駆け寄っていく。


担任の先生も、何が起こったのか分からないといった顔で、呆然と土台を見上げている。


はぁ……とりあえず、先生が無事で本当に良かった。


私はホッと、胸を撫で下ろしたのだった。