最強パティシエは、幼なじみに恋をする



初めてお菓子を作ろうと思ったのは、幼稚園生のとき。


バレンタインデーにテレビで、女の子が男の子に手作りのチョコレートを渡しているのを見て、「私もやってみたい!」と強く思った。


最初は、お母さんに手伝ってもらいながら、チョコレートクッキーを見よう見まねで焼いた。


形はいびつで、少し焦げちゃっていたけれど。


お父さんやおばあちゃん、家族みんなが「わぁ、美味しい。しずく、すごいね!」って、満面の笑顔で食べてくれた。


それが嬉しくて、嬉しくて。胸の奥がじんわりと温かくなった。


このとき私は初めて、自分の作ったもので誰かを笑顔にできる、温かくてかけがえのない喜びを知った。


この瞬間こそが、私がパティシエを夢見るようになった原点。


私の未来を形作る、とても大切な一歩になったんだ。