日を追うごとに、文化祭の準備で遅くなり、気づけば教室には私と湊斗の二人だけになっていた。
がらんとした教室に、二人分の息遣いだけが響く。
西日が差し込み、窓から見える空は、いつの間にか茜色に染まっていた。
「しずく、疲れてないか?」
湊斗が、自分のカバンからそっとペットボトルのお茶を取り出して、私に差し出してくれた。
冷たいペットボトルの表面には、結露の雫がキラキラと光っている。
「あ、ありがとう」
湊斗のさりげない優しさに、私は思わずドキッとする。冷たいペットボトルの感触が、熱くなった頬に心地よい。
少し休憩したあと、私が腕まくりをして、残りの生地をこねていると。
「しずくって、けっこう力持ちなんだな」
湊斗が、ぽつりと呟いた。彼の声は、いつもと同じ、落ち着いたトーンだったけれど、私にとっては雷に打たれたような衝撃だった。
「へっ!?」
秘密に触れられたことに、私の心臓は飛び跳ねるほど焦った。
鼓動が早鐘のように鳴り響き、それが湊斗にも聞こえてしまうんじゃないかと、不安になる。
ど、どうしよう。もしかして、湊斗に怪力だってことがバレた!?



