最強パティシエは、幼なじみに恋をする



湊斗は、私が重たいオーブンを運んでいると、そっと耳元で「大丈夫か?」って言って、運ぶのを手伝ってくれたり。


休憩中に「無理するなよ」と言って、冷たいお茶を差し出してくれたり。


いつもクールな湊斗が、私を気遣ってくれていることが、とてつもなく嬉しかった。


彼の視線や言葉が、私の心にじんわりと染み込んでいく。


まるで、温かい毛布に包まれるような、そんな心地よさだった。



ある日の放課後。賑やかな教室の片隅で、私は文化祭の出し物の看板に色を塗っていた。


ふと視界の端に、すらりと伸びた影が映った。そちらに顔を向けると、白鳥華さんが、湊斗のほうへ近づいていくのが見えた。


白鳥さんのつやつやの黒髪ストレートは、教室の蛍光灯の下でも、キラキラと輝いて見える。


彼女は誰もが振り返るほどの美人で、勉強もできて、まるで絵に描いたような優等生だ。


「ねえ、篠宮くん」


白鳥さんが、にこやかな表情で湊斗に声をかける。彼女の声は、いつもよりも少しだけ明るく、弾んでいるように聞こえた。