その次に、巨大なクッキー生地をこねる作業が待っていた。
家庭科室に用意された、大きなボウルいっぱいの生地は固くて、まるで岩みたい。
他のクラスメイトは、一人ずつ交代で生地をこねているけれど。
「うわあ、硬い!」「ちょっと無理かもー」と言いながら、音を上げている子がほとんど。
みんなの腕はパンパンで、顔には汗がにじんでいる。だが、なかなか生地はまとまらない。
クラスメイトが苦戦する姿を見るのは、正直、少しもどかしかった。
「大変そうだな……助けなきゃ」
私は、ボウルを手にしているクラスメイトにさりげなく近づく。
そして「ちょっと、私もやってみるね」と声をかけた。
みんなが疲労困憊で手を休めている横で、私は黙々と生地をこね続ける。
手のひらに感じる、むっちりとした生地の抵抗は、私にとっては心地よい刺激だった。
私の手は、まるで機械みたいに正確で速く、あっという間になめらかな生地ができあがった。
「え。月森さん、もうできたの!?」
「すっげー!」
みんなが驚くなか、私は平静を装うのが大変だった。
顔は笑っているけれど、心臓はバクバク鳴り響いている。
そんな私の様子を、湊斗がじっと見ているのが分かった。



