それから数日後。
文化祭に向けての準備が、本格的に動き出した。
私たちの「お菓子カフェ」は、メニュー開発から試作、そして必要な道具の準備まで、やることは山積みだ。
放課後の家庭科室や空き教室は連日、多くの生徒たちでごった返している。
ペンキの匂い、木材のきしむ音。あちこちから聞こえる笑い声が混じり合って、どこもかしこも活気に満ちていた。
私は、主にお菓子作りの担当だから。材料を計量したり、生地をこねたり。あるいは、重い材料を運んだり……と、力仕事も多かった。
だけど、これが私にとっては、いつもヒヤヒヤする時間でもあった。
たとえば、試作で使う大量の小麦粉や砂糖の袋運び。
みんなが「うわー、重い!」「もう腕がパンパンだよー」って声を上げながら、汗をかいて何往復もしている。
そんなクラスメイトの横を、私は冷や汗をかきながら、一度に大きな段ボール箱を抱え込んで運ぶ。
その中には、小麦粉や砂糖の袋が何個も入っている。
もちろん、周りにバレないように、わざと「よいしょ、よいしょ……」とうめきながら、ものすごくゆっくりと、疲れているフリをする。
足元がおぼつかない演技まで加えるという、徹底ぶりだ。
内心では「ふふ。これなら100個でも余裕でいけちゃうな」なんて思ったりするから、我ながらちょっと笑ってしまう。



