最強パティシエは、幼なじみに恋をする



「ちょっと、ごめんね」


彼女たちに聞こえるか聞こえないかくらいの声でつぶやきながら、私は片手でひょいっと、泡立て器を棚から取り出した。


「え、すごい!」

「月森さん、いつの間に!?」


周囲は驚きの声に包まれ、私はハッと我に返る。


しまった!


「え、ええっと……たまたまだよ。なんだか今日は、腕の調子がいいみたいで! 力を入れて持ち上げたら、意外と軽かったの!」


私は顔を真っ赤にして、慌ててごまかす。


そのとき、ふと視線を感じた。


そちらに目を向けると、少し離れた場所に湊斗が立っていた。


彼は何も言わず、ただ静かに、私のことを見つめている。そして、小さく口角を上げて、ふわりと微笑んだ。


湊斗のその優しい笑みに、私の心臓はまた一つ、ドキッと音を立てた。