調理実習後、クラスメイトたちは口々に言っていた。
『月森さんって、意外と料理上手いんだね!』
『タルト、すごく美味しかったよ』
そんな言葉を聞くたびに、私は照れくさくて、顔を赤くするしかなかった。
その日の放課後。
家庭科室で、調理実習の片づけをしているときのこと。
「うーん。これはもう、どうしようもないね」
クラスメイトの女の子たちの困ったような声が、耳に届いた。
そちらに目をやると、彼女たちは、高い棚の奥にしまった重い泡立て器に手を伸ばしていた。
どうやら、手が届かないらしい。
「誰か、背の高い子いないかな?」
「男子に頼むしかないかー」
そんな声が聞こえてくる。
困っている子たちを見ると、放っておけなくて。
私は、さりげなく棚に近づく。



