最強パティシエは、幼なじみに恋をする



「み、湊斗!?」


幼なじみの湊斗だった。


彼は何も言わず、いつものクールな表情で私の隣に立っている。


湊斗、いつからそこにいたんだろう?


「しずくが欲しいのって、あの本?」


湊斗が、私が取ろうとしていた本を指さす。


「う、うん」


私が頷くと、彼の腕がするりと伸びる。


背の高い湊斗にとっては、なんてことのない高さなのだろう。彼は苦労することなく、一番上の棚から本を取ってくれた。


「はい」


湊斗が、私に本を差し出してくる。そのとき、彼の指先が私の指に、そっと触れた。


ひんやりとした指先から、じんわりと温かさが伝わってくるような、不思議な感覚。


私の心臓は、大きく飛び跳ねた。


「あ、ありがとう!」


慌ててお礼を言うと、湊斗は「気にすんな」とだけ呟き、私に背を向けてスタスタと歩き出す。