うう……湊斗の肩が、近い!
サーサーと降りしきる雨音と湊斗の息遣いが、すぐ近くで聞こえる。心臓がドクドクと、うるさいくらいに高鳴った。
まるで、私の心臓の音が雨音にかき消されることなく、湊斗にまで聞こえてしまいそうなほど。
「……」
どちらも話すことなく、雨が降る音だけが二人の間に響く。
顔を上げると、湊斗の顔がいつもよりも近くに見えた。切れ長の瞳が、どこか遠くのほうを見つめている。
その横顔は相変わらずクールで、何を考えているのか分からないけれど。
私には、その横顔がいつもよりもほんの少しだけ、優しく感じられた。
私の視線に気づいたのか、湊斗がちらりとこちらを見たけれど、すぐにまた前を向いて歩き始める。
私も自分の頬が熱くなっているのを感じて、慌てて視線を逸らした。
アスファルトの道は、雨粒が落ちるたびに小さな円を広げ、水たまりには灰色の空がぼんやりと映っている。
湊斗は私に歩調を合わせているのか、ゆっくりとした足取りで隣を歩いてくれている。
湊斗、優しいな。こんなふうに彼とひとつの傘を二人で差すなんて、いつぶりだろう。
こんなに近くに湊斗がいるなんて、なんだか変な感じがするけれど。
それは決して嫌なものではなく、とても心地の良いものだ。
このまま、雨が止まなければいいのに──。
そんなことを、雨の音にかき消されるように、心の奥でそっと願った。



