虐めなんて何処にでも有るよ。 人が居る所には必ず虐めが有る。
子供の場合には特に虐めている自覚なんて無いから深刻化しやすいんだ。
 「面白いから遊んでた。」 「揶揄うと反応が面白くて、、、。」
まあ、それくらいの意識だろうなあ。 抵抗しないから虐めはエスカレートする。
 でも虐めと性被害は別だぞ。 性被害は直で犯罪になる。
これは周りの大人たちがきちんと見てないと分からない。
でもなあ施設なんかだとその大人たちが見なかったことにして通り過ぎるからやばいんだ。
 実際に福岡の盲学校でもそんな事件は起きている。 40年前の話だけどね。
やられたほうは時効なんて関係無いよ。 なあ山崎君。
あんたはだちが抵抗しないからって弄んだ卑怯者だよね?
だちと会ったら何をされるか分からなかっただろう。 それくらいに今でも恨んでるらしいから。
死んでも会うんじゃねえぞ。 山崎君。

 え? いつでも脱げる体? じゃあ今そこで脱いでよ。
変だよなあ 今の女は。 やられたら騒ぐくせに変に挑発して来るんだから。
あんなんに関わるとろくなことは無いぞ。 「何かやってるわ。」くらいで無視しておけ。
 お尻が美人でも中身がくだらないんじゃあ話にならん。 なあ麻理。
 「そうは言うけどあなただって胸しか見てないじゃない。」 「そんなことねえよ。」
「そうかなあ? 私の一番好きな所は?」 「うーん、胸。」
「ほら見ろ! この変態じじい!」 またまた麻理の痛い痛い拳骨が飛んできた。
 まったくもって俺は麻理に反論すら許してもらえないのであります。 情けない情けない。
 「お父さんもコーヒー飲むでしょう?」 「う、うん。」
「何萎れてんの? 元気出しなさいよ。」 「う、うん。」
 「煮え切らない人ねえ。 拳骨一発で凹まないでよ。」 「だって。」
「後でたっぷり触らせてあげるから。」 「ムフ、、、。」
「何だよ 変態親父!」 「、またまた、、、。」
 可愛いのか憎たらしいのか分からない麻理に振り回されっぱなしなんです いっつも。 これでいいのかなあ?
それでもまあ30年連れ添ってきた愛妻ですわ。 最初の頃なんて、、、。
 「あなたさあ、いっつもコンビニ弁当だったんでしょう? 作ってあげるわよ。」 「いいよ。 大変だから。」
「いいわよ。 作れる時には作るから。」 「じゃあ、お願いするよ。 悪いな。」
「いいの。 私みたいな女を捕まえてくれたあなただから。」なんて言いながら毎朝弁当を作ってくれていた。
 それもさあ「冷めないようにね。」ってランチジャーだぜ。 味噌汁だの唐揚げだのってたくさん入ってたなあ。
誕生日になるとメッセージカードも入れてくるんだぜ。 泣いちゃったよ。
 そんな弁当もだんだんと小さくなって、、、。 「栄養にも注意しないとね。」なんて言うようになった。
健康診断の結果が出ると「今年は上出来だなあ。 来年もこうだといいね。」
 お互いに顔を見合わせて頷くんだ。 何が起きても怖いからな。

 そんな麻理でも時には思い詰めたような話をしてくる。 「どうしたんだ?」
「なんかさあ、私が死ぬ日のことを不意に考えちゃったの。」 「死ぬ? お前が?」
「60にもなるとさあ現実味を帯びてくるのよね。 あなたにだって。」 「そりゃそうかもしれんが、今すぐにそうなるってわけでもないんだし、、、、。」
「そう思ってて死んじゃった人も居るからさあ、、、。」 「その時はその時だよ。」
「あなたは耐えられる? 私が死んだら、、、。」 「うーーーーー。 無理。」
「でしょう? だから余計に心配なのよ。」 「女は強いなあ。」
「は? アホか。 あんたがだらしないんだよ。」 またまた麻理の拳骨が飛んできた。
「真面目に考えてるんだからさあ、真面目に考えてよ。」 「ごめんごめん。」
 謝りながらも見えてしまうのは麻理の胸、、、。 どうしようもないなあ。
そんなわけで二人で死ぬ日のことをあれやこれやと話し合っております。 「同じ日に死のうね。」
「とはいうけど、そんなの分かんねえだろう。」 「それでもいいの。 決めておかないと不安だから。」
「何で?」 「あなたが浮気するからよ。」
「俺がかい?」 「そうよ。 今でも浮気してるんじゃないの?」
「してねえよ。」 「言い切れる?」
「うん。」 「そっか。 それならいいな。」
 麻理はコーヒーを飲みながら窓の外に目をやった。 この辺りもビルが多くなってきたなあ。
なんかさあ、21世紀の人間が時代の最先端みたいな誤解をしてるやつが多いんだけど本当にそうかなあ?
 ピラミッドの接着剤だって成分すら分析できてないじゃん。 それに永久に錆びない金属だって特定されてないじゃん。
 そして超古代文明が残した謎の飛行機は何? そしてロケットは?
そのおまけに超古代文明の頃は地球の公転も360日だったんだよね? あっちこっちの遺跡からその事実が明らかにされてきてるよねえ。
 今の歴史は表面だけのヒーローの歴史。 つまりはヒーローズストーリー。
真実は無茶苦茶な闇に葬られてる。 芸能界の闇なんて比べ物にならんくらいの凄まじい闇だ。
いずれ世界に堂々と公開される日が来る。 必ず来る。
そしたら今の権力者たちは装ってるだけだってことが白日の下にさらされるわけだねえ。 そして完全なる武装廃棄が進められる。
もちろん、金融 経済を裏で動かしている連中も無惨なくらいに晒されるだろう。 必ずその日は来る。
きっと来るよ。 孫の孫の孫の孫の孫の孫の曾孫の曾孫の曾孫のその先になるかもだけどね。
今の世界はおかし過ぎる。 権力が偏り過ぎている。
いつか、必ず崩壊する時が来る。 万年安泰じゃないんだぞ。
 地球だって僅か45億年だけの物じゃない。 宇宙と同じくで数千億年の歴史を持っている星だ。
それが証拠に10キロより深い地価を俺たちは知らないじゃないか。 そこには何が有るんだろうね?
そのおまけに命はずーーーーーーーーーーーーっと昔から永遠の未来に向かって流れ続けてるんだ。 今だけの泡沫じゃないんだよ。
じゃなかったらこの世界に何度も生まれてこないさ。 星だってそうだろう。
 超新星爆発が起きる。 その数千年後には同じ場所で星が生まれている。
ブラックホールに吸い込まれた星だって何処かで生まれ変わっている。 そうやって宇宙は繋がってきたんだ。
 3000億年の昔、宇宙は何も無い空間だった。 そこから何かが生まれてきた。
こう書くとそこから宇宙が始まったように思うだろう。 だったら終わりも有るはずだ。
 おそらくはその前にも立派な宇宙が存在していた。 前宇宙が消滅して新しい宇宙が生まれた。
それが今の宇宙だよ。 そう思わないか?
 「ねえねえ10月に死ぬのって良くない?」 「何だ、いきなり?」
「暑くもないし寒くもない。 ちょうどいいと思うんだけど。」 「そうだねえ。 汗だくになるのも嫌だし寒くてたまらないのも嫌だな。」
「決まったわ。 私たちは10月14日に死にましょう。」 「死にましょうってか、、、。」
「不服ですか?」 「いや、麻理がいいならそれでいいよ。」
「まったくもう。 何でもかんでも私なんだから。」 「だってこの家の総理大臣は麻理だから。」
「はいはい。 すいませんねえ。 いっつも出しゃばりで。」 頬っぺたを膨らませてコーヒーを飲む麻理を見て俺は思った。
(次の世でも麻理とまた会いたいな。) 静かに時が流れていく。
 今日は和之は帰ってこない。 長距離の仕事なんだって。
俺みたいにならなくて良かったな。 毎日が忙しそうで。
 姉ちゃんは? と思ったら二階に居た。
物音もさせずに何をしてるんだろう? 寝てんのかな?
 とにかく邪魔は居ない。 居間で麻理と二人きり。
結婚したてのあの頃みたい。 だってあの頃は麻理のアパートに住んでたんだから。
2dkの部屋だったな。 子供も居なかったからそれで良かった。
でも和之が生まれると、、、。 俺は居間で寝るようになったんだ。
「夜も大変だからお父さんも心配でしょう?」 「そりゃあ、、、。」
「仕事に差し支えるといけないから夜は私がやるわ。 昼間は手伝ってね。」
そんなこんなで麻理は仕事を休んで和之の世話に没頭してくれた。 そのうちに実家に戻れるようになって父さんたちが使っていた部屋に転がり込んだわけ。
 和之が幼稚園に通うようになった頃、麻理はショップに復帰した。 最初は午前中だけね。
いろんなことが有ったよなあ。 保母さんたちとも仲は良かった。
 そして小学校。 中学校の時はラブレターまで貰ったりして、、、。
 「あらあら、お父さんには似てないのねえ。」って麻理が笑ったくらいだ。 「何だよ?」
「あなたは私と出会うまで恋愛にはこれっぽっちも縁が無かったのよねえ?」 「それがどうした?」
「和之があなたに似なくて良かったわ。」 「言うなあ。」