とはいうものの、「あなた、洗濯しといてね。」って麻理は俺に言って出掛けてしまいますですよ。 何処に行くんだろうなあ?
結婚したばかりの頃、聞いたことが有りましたわ。 「木曜日にさあお母さんと買い物に行きたいからよろしくね。」
 母さんが死んだ今でも木曜日になると買い物に出掛けるのですよ あいつは。 幽霊と散歩してるのかなあ?
麻理が出掛けてしまった後、俺は洗濯機を覗きます。 四人分の洗濯物が入ってます。
 そこからまず姉ちゃんと和之の物を取り出しまして、、、。 麻理のやつを探し出します。
入ってますなあ、lサイズの下着。 うーん、大きい。
これで萌えないわけが無い。 改めてこの30年を振り返る時なんです。
 前の彼氏と付き合ってた時には服を脱ぐことすら無かったんだって。 本当に婚約するまでお泊りも禁止されてたんだって。
それがさあ、俺と付き合い始めた途端に「同棲してもいいよ。」って父さんが言ってきたからびっくり。
「何で?」って聞いたら「警官に変なのは居ても悪いのは居ないだろう。」だって。
確かに俺は変かもしれないなあ。 逮捕したのは、、、小判だけだし。
拳銃は使ったことも無いし、、、、。 分かる気がする。
 それでね、同棲し始めた最初の夜、麻理が言ったんだ。 「結婚するまで見ないでね。」って。
脱衣所なんて無かったから目を逸らすのが大変だった。 押し入れの前に寝転がってると真正面に見えちゃうんだもんなあ。
 だから寝た振りをしていると麻理がバスタオルを顔に掛けていったもんだ。
それがさあどうだい。 結婚したとたんに何も言わなくなったんだ。
 天井を仰ぎながらチラチラしていると仁王立ちになって見せてくるんだもん。 それはそれで、、、。
でもまあそうやって気付いたら和之が生まれてたんだよなあ。 ありがとうな 麻理。
 洗濯が終わると篭を持ってベランダへ、、、。 四人分の洗濯物を干しまーす。
姉ちゃんと麻理の下着をさっさと干しまして、うーーーん、じっくり見たいなあ。 変態。
 麻理って今でも可愛い下着を着けていたことに改めて驚く瞬間。 やられたわ。
なんとか干してしまうと昼ですわ。 ラーメンを作って食べましょうかね。
それにしてもテレビは面白くないなあ。 YouTubeも余程に考えて選ばないと面白くない。
そこで昼間は音楽を掛けてます。 誰も居ないからいいか。
 麻理だって帰ってくるのは4時過ぎだしねえ。 たまには相手してよ。
 それでもってまたまた四人分の洗濯物を押し込んで洗濯機をスタート! 昼まではのんびりしようっと。

 玄関でガチャって音がした。 行ってみると「なあんだ、広告か。」なのです。
誰といって訪ねてくる人も居ませんですよ。 暇だなあ。
 クッションを引っ張り出してゴロゴロしていると、、、。 「ジャンジャンバリバリドカーンドカン。 ジャンジャンバリバリドカーンドカン。」
どっかで聞いたような声がする。 窓を開けてみると、、、。
 「やあ兄貴。 景気はどうだい?」って小判が近付いてきた。 「お前、まだ生きてたのか?」
「まだは無いっしょ? これでも芸人なんだから。」 「お前は芸人じゃなくてゲー人だよ。」
「ひどいなあ。 これでもお笑い工房で働いてるんだぞ。」 「お笑い工房? パン工房のほうが余程にいいぞ。」
 「ひどいなあ。 聞いてくれよ。」 「いいからいいから。 ラーメンが伸びるんでな。」
「ああ待ってよ 待ってよ兄貴!」 縋りつく小判を無視して居間の畳の上に寝転がる。
 「ジャンジャンバリバリドカーンドカン。 ジャンジャンバリバリドカーンドカン。」 あれでも芸をやってるつもりで小判は歩き去っていきました。
洗濯も済ませて日向ぼっこでもしようかな。 あったかいあったかい。
そんなの有ったかい? くだらないことを言ってないで乾いた物から取り込みましょうか。
 今日は一日主婦なのよ あたし。 気持ち悪ーい。
 でもさあ、木曜日っていっつもこうなんだよなあ。 たまには二人で出掛けたいものだ。
姉ちゃんと和之の洗濯物を二回に運びまして、、、。 俺と麻理の洗濯物はすぐそこに。
 んでもって一休み一休み。 そう言いながら麻理が帰ってくるまで寝てしまうんだよなあ いっつも。
5時近くになって麻理が帰ってきました。 「ただいまーーーーー。」
 でも家の中はシーンとしています。 「あれ? 居ないのかな?」
そう思いながら居間のドアを開けてみると、、、。 「あらま、またこんな所で寝てるのね?」
 寝ている俺の傍にそっと寄ってきて、、、。 「こらーーーーーー、起きろーーーーーー!」
「なあに?」 「なあにじゃないわよ。 また私の下着を枕にして寝てたのね? 欲求不満なんだから。」
「しょうがないだろう。」 「しょうがもくそも無いわよ。 やりたかったらやりたいって言ってよね。 お父さん。」
「やりたい。」 「今はダメ。」
 ってな感じで軽くあしらわれてしまうのですよ 悲しいわーーー。 「泣いてなさい。 馬鹿。」
 麻理は立ち上がると夕食の準備を始めます。 「やらせてあげるから手伝ってよ。」
「えーーーーー? 手伝うの?」 「文句あっか?」
返事を渋ろうものならフライパンが飛んできます。 おっかねえおっかねえ。
 俺って相当に麻理の尻に敷かれてるよねえ。 ショボーン。
二人で、、、、、、、、、、じゃなかった。 四人で夕食を。
 でもね、和之は夜勤の時も有るからたまにしか居ません。 姉ちゃんはそんな時こそ嬉しそう。
だってさあ俺を麻理に取られたもんだから悔しいのよね? 姉ちゃん。
 「しょうがないじゃないよ。 あんたは結婚しちゃったんだから。」 「っていいうか貰ってもらえなかったあんたが悪いんでしょう?」
「いいんだもーん。 和之に可愛がってもらうから。」 「和之も迷惑だなあ。」
「良太さんの息子なんだもん。 しょうがないわよ。」 澄ました顔で麻理はお茶を飲んでます。
 「お前の子供でもあるんだぞ。」 「いいの。 私の卵はいい子だから。」
「あっそう。」 結局さあ俺って何?
 「麻理ちゃんもよく決断したわねえ。」 「っていうか、早く子供を産みたいって思っただけよ。」
「え? 俺って種馬?」 「それだけじゃないけどさあ、、、。」
 ますます俺の存在が微妙になってくるんだけど、、、。 種馬か、、、。
「まあまあ、そう落ち込まないでよ。 可愛がってあげるから。」 食事を済ませた麻理は俺を抱っこしました。
「グググググ、、、。 息が出来ません。」 「え? どうしてよ?」
「だって谷間に嵌り込んでるんだもーーーーん。」 「ごめんごめん。 考えてなかったわ。」
 lサイズのお胸に抱かれて俺は何とも幸せなのですが、、、たまに谷間に食い込んで息が出来なくなるんだよなあ。
 ボーっとしていると「何狙ってんのよ? 馬鹿。」って拳骨が飛んできた。 「居たいなあ。」
「100万トントンカチじゃないからいいでしょう?」 「そう言うけどお前の拳骨は兎にも角にも痛いんだぞ。」
「あーら、ごめんなさいね。 痛い女で。」 ニコッと笑いながらキスをしてくるから追撃できなくなる。
 「さあさ、今夜もお風呂を沸かすから一緒に入りましょうね。 あ、な、た。」 「ムーーーーーーーー。」
やっぱり俺は麻理には勝てない。 姉ちゃん以上に俺を抑え込む手を知っている。 逆らわないほうがいいかも。