「本能はね、心理によって制御されるものなの。彼女らは本能では、アナタの声が本当の自分の声ではないと気付いていたかもしれない。けれど心理が、それを現実へ束縛させたのよ。自分の声が自分の声ではないはずがない。そう考えるのよ」
「ええ。ですが、もうよいのですよ」
かぶりを振った上江は、
「私は、アナタに『気付いて』もらえたのです。今までだれひとりとして気付くことのなかった、私に。それだけで満足しました」
一瞬で、自分の目へ指を突き刺した。
誰も反応できなかった。
「ぁ゛っっっ!」
悲鳴を我慢した上江が、ガタガタと震えながらたたみに膝を打つ。
そのまま、くたりと倒れて動かなくなった。
やれやれと、仁もかぶりを振る。
「自殺に始まり、自殺に終わった、か」
真輝は、そんな上江を冷たく、見下ろす。
その感想はたったひとつ。
あまり、美味しそうな死体ではない。
「ええ。ですが、もうよいのですよ」
かぶりを振った上江は、
「私は、アナタに『気付いて』もらえたのです。今までだれひとりとして気付くことのなかった、私に。それだけで満足しました」
一瞬で、自分の目へ指を突き刺した。
誰も反応できなかった。
「ぁ゛っっっ!」
悲鳴を我慢した上江が、ガタガタと震えながらたたみに膝を打つ。
そのまま、くたりと倒れて動かなくなった。
やれやれと、仁もかぶりを振る。
「自殺に始まり、自殺に終わった、か」
真輝は、そんな上江を冷たく、見下ろす。
その感想はたったひとつ。
あまり、美味しそうな死体ではない。

