+湯けむり連続自殺事件

真輝は言う。

「最初に、アナタの『手段』を明確にするわ。上江、アナタが彼女らに自殺をさせた方法はひとつ。ただ、死ね、と言ったのよ」

「……」

反応を見せない上江の代わりか、賢一が訊く。

「でも真輝さん、仮に暗示とか催眠術とかだとして、それをかけられるだけの時間とか、可能性とかはない、難しいって話になったんじゃ……?」

「そうだぞ真輝」

と、これは黙れと言われたばかりの仁。

「仮にそうだとして、だったら『気付いて』っつぅ念の意味がわからん」

「仁」

「おう?」

「お黙り」

真輝は続けた。

「上江が行ったのは暗示とも催眠術とも違うわ。会話よ」

「会話」

と楓。

「そう。一種、テレパシーにも近いわ。上江、アナタは人の脳内へ、直接声を送ることができる。そうよね」

「……」

しかしやはり、上江は答えない。

答えるつもりがないというより、ただ、完全な聞き手に回っているようだった。

無言を受け取り、真輝は継ぐ――

「待て待て真輝」

前に、また仁。