+湯けむり連続自殺事件

アルが手帳に要点をまとめる。

「つまり、あらゆる意味であのメンバーのだれかが三人を自殺させた。方法はテレパシーか暗示か……とにかく相手へ、自殺を、自分の意思で実行させられるもの」

「そ、そんなのあるのかな……」

賢一は超常への知識が乏しい。

仁がくわえたタバコを指に挟む。

「難しいな……たぶんESPの路線で考えたほうがいい。いくらなんでも仕掛けがわからん」

「順番に整理しよう」

と風間純。

「自殺をさせる方法は、暗示のようなもの。動機は、気付いてもらえないから」

「なにに気付いてもらえないか、これがわかれば犯人心理も理解できるわ」

と真輝。

「うん。それから、自殺者の共通点はだんだんと自分を痛め付けるものになってる。犯人は残りの二人だとして……もしどちらかが死ぬまで自殺を続けさせるなら、最後のひとりはもっとむごい死に方だろうね」

「となれば、その時には、残った人が犯人ってわけだねっ」

幹が継ぐ。

「でもだからって犯人にはできないね。追い詰めるにしても、最後にひとり残ったからじゃ理由が曖昧だもん。自殺させた方法、動機を突き詰めないと、ラストは決まらない」