宿に戻った三人を迎えたのは、苦笑も曇ったアルだった。

「やあ、おかえり」

と言うアルの横には、ブルーシートが被せられた塊。

またそのそばの、宿名が掘られている岩には、赤黒い液体が滴っていた。

アルは、いったい何事か、と驚きながら、同時に、ああまたか、と予測している三人へ告げる。

「まただよ。今度も凄絶な自殺さ。自分でそこの岩に頭突きをしてね。いやぁ僕でさえ、気持ち悪かった。脳みそがはみ出るまで頭を打ち付ける人なんているんだね」

参った参った、と頭を掻く。

と、玄関から真輝が現れた。

戻っている三人と、アルを見やる。

「揃ったわね。アルも現場はいいでしょう? 情報交換、始めましょう」

そうしてまた全員、第三客室――虎の間へ集う。

真輝が切り出した。

「さっき自殺したのは、太田の友人、柴尾よ。不味そうな金髪の男ね」

『不味そうな』という部分に一二三が大きく賛同してうなずいたが、ほかの者は無反応だった。