すぱん、すぱんとスリッパの音が三人分。

「裏山に霊がいるかどうかは謎だし、霊に呪われる理由もないし、仮に呪われてるとして、霊の影響を真輝さんが見逃すはずがない」

「なんか、やっぱり突き詰めれば突き詰めるだけ自殺になってくなぁ……だいたい、霊の呪いって警察の管轄なのかなあ」

賢一の苦笑に、しかし一二三は睨む。表情が常に冷徹なのが、真輝の娘(†は時系列が飛ぶから気にするべからず)である。

「霊による呪いは人間の管轄ではない。また、自殺としては片付けられない要素もままある。少なくとも、裏山に霊がいる、ということをヤツらは信じている。調査してみて悪いことはない」

「そうだね。疑問はしらみ潰しにしていかないと、真実には行き着けないよ。それに、本当に霊がいてそれの仕業なら、一気に片付くでしょ?」

「その調査」

と、会話に割って入る声。

ちょうど三人が行き着いた虎の間から、楓がゆっくりと出てきた。そのあとに、和幸と桜庭が続く。

教会に所属する図書委員は、

「私たちに任せてください」

きらりとメガネを反射させた。