「ごめんなさい……気が立っちゃって……でもわかって。二人も殺されたの、二人もよ? 仕方ないわ……」

仕方ない、と言っているだけで、まったく仕方ないと思えていないのを、一二三は鋭敏に見抜いている。

「なぜ、殺されたなんて思うんですか? 自殺じゃないんですか?」

賢一が問うと、また柴尾が眉をしかめる。

彼がなにか言う前に、幹が付け加えた。

「あのアルっていう刑事に言われて来たんですよ。あたし達はお使いで来ました」

すぱっ、とした言い方をする幹なので、柴尾らも「あ、ああ」とうなずくばかり。

それならば……というなし崩し的な納得が表情からわかった。

「じゃあ、聞きたいんですけど……なんで、自殺させられた……殺されたなんて思うんですか?」

賢一の問いに答えたのは、ひとり静かにしていた、上江だった。

黒いショートカットの、おとなしそうな少女、といえるタイプである。

「アル刑事にもお話ししたのですが、あの二人が自殺する理由が考えられないのです。野々村くんはもちろん、太田くんも」