アルが現場へ赴いて野次馬を追っ払ったり、形式的な捜査などを行っている間に……

賢一、一二三、幹の三人は、五号客室――辰の間へ来ていた。

部屋の中には五人分の荷物があるというのに、いるのは三人。

最初に死亡した野々村の恋人・浅野、その友人である上江、先ほど自殺した太田の友人である柴尾――当然のように、青い顔をしている。

友人がこの短時間で二人も自殺をすれば、それもそうか、と幹は思う。

特に、彼女らは最初から野々村の自殺に疑問を抱いているのだから、こうして太田が自殺してしまっては、疑問が高まるだろう。

あるいは、次に自殺させられるのは自分らかもしれない……そう、怯えているのかもしれない。

「話を聞きたい」

と、一二三が切り出した。

ところが、太田の友人である金髪の男、安っぽいロックミュージシャンのような頭をしている柴尾が眉をしかめた。

「話を聞きたいって、お前らなんなんだよ? 警察でもねぇのに、探偵ごっこか? 興味本意で来てんじゃねぇよ」

「柴尾くん……」

と、彼の乱暴な物言いに、茶髪をゆるく巻いた女が細い声をかけた。

最初に死亡した野々村の恋人・浅野である。