+湯けむり連続自殺事件

真輝が部屋に戻ると、全員が起きていた。

布団の上で全員が円を描いて座っているのは、まるで修学旅行である。

アルが訊ねてくる。

「どうだった、真輝ちゃん?」

「……」

「真輝?」

仁にも追求されて、真輝はやや伏せていた顔をあげた。

鬼である彼女が、あの程度の血を見て動じることはない。

ただ、

「自殺だったわ。完璧な、たったひとり、本人によって行われた自殺。それに違いはない」

疑問が、眉をしかめさせる。

「だけど、異常よ。ただの自殺じゃないわ。自分の腹を叫びながら切り刻む。そんな自殺の仕方、人間の心理で考えられる?」

「……人間には、そこまでの覚悟はできない」

と、一二三が静かに受ける。

「痛みに耐えかね、一度の加虐が精一杯。さらなる加虐に及ぶには、一度目の痛みにある程度の耐性ができなければ」

「そう。痛みという信号が、二度目以降の加虐を自分に禁止させるわ。それなのに、今見てきた男は、それをやった。こう、連続でね」

真輝が、包丁を逆手に持ち、自分の腹へ何度も刺し込むジェスチャーを取る。