「きゃあああああ――!!」

突然、悲鳴があがった。

すっかりくつろいでいた香澄やアル達、白熱していた真輝や仁らが、何事かと見やる。

風呂場を出たところにあるこの遊戯場から続く廊下は、フロントである。

フロントより向こうに続く廊下は、客室側になっている。

その客室側から、数人の男女が駆けてきて、フロントへかじりついた。

こちらまで声が筒抜けになる。

「たっ、たっ、大変なんです!」「だれか来てくれ早く!」「いや警察に」「救急車が先よ!」「とにかく早く――」

「まあまあ、いやはや、落ち着いてもらえませんかね、みなさん」

それをあやすように、どこかいなすように応えるのは、狐目の男。

「マジか……」

と、仁はぼやいた。

相手をしていた楓は、いっそ呆けている。

なにせ、フロントをやっているのが、あの一ツ橋なのだから。

「さてさてみなさん、だれか代表して、順序だててご説明ください。なにがどうしました?」

四人いた男女の一人――黒い髪の真面目そうな男が、言った。

「お、俺たちの部屋で、友人が首を吊ったんです」