かぽーん……

という音がしたら、どんなに雰囲気があることか。

もわもわと漂う、綿雲のような湯けむり。

熱い湯を洗面器いっぱいに注いだ真輝は、肩を流した。

「あ~」と心地よさそうに唸る彼女の頬は、ほんのりと赤くなっている。

なめらかな肌を泡が滑り落ち……しかし残念ながら湯けむりが隠す。

もう少しでその括れや、形のいい胸や柔らかそうなヒップラインがあらわになりそうだが、そうはいかない。

そう、いじらしい入浴サービスシーンである。

もちろん……というわけではないが。

「あ~、いいお湯だねぇ」

すぐそばのひのき湯船には、細身ながら健康的な体をしている大竹幹が、頭にタオルを乗せ、

「(ブクブクブク……)」

その横では風間一二三が目をつむり、湯に肩まで浸かっていた。

いずれも頬が紅潮している。

真輝の眉がぴくりと跳ね上がった。

「一二三って……待ちなさい、アナタ、私の娘っていう設定でしょう? なぜアナタが十六歳の私と一緒にいるのよ」

「(ブクブクブク)」

一二三は答える気がないらしい。それとも湯が気持ちよすぎてなかば寝ているのか。