桜の舞う夜、彼らは


「大丈夫か?」

 ニコニコとキラキラスマイルを振りまきながら海斗さんが言う。
 反射的に「いえ、大丈夫です」と断った。

「……ここ、足を乗せても大丈夫ですか?」

「いいよ~」

 バイクの出っ張った部分に足を引っ掛け、ひょいっと乗る。

「じゃあ、行くよ!」

 優弥の合図と同時に、バイクが走り出した。
 少し早い……けど、風が気持ちいい。

「大丈夫!? 早くない?」

 海斗が大きな声で私に言う。

「大丈夫です! でも、事故らないでくださいね!!」

 バイク音でかき消されてしまったけど、小さく海斗さんの笑い声が聞こえた。