桜の舞う夜、彼らは

「俺達も同級生だし! 普通に話してほしいなぁ……」

 ドクン、と心臓が嫌な音を立てた。

「……っえ」

 思わず声を漏らした時に、はっと我に返った。
 動揺したことを優弥と静弥にバレないように、小さく息を吐いてから答える。

「……すみません。その、どうしてもクセで敬語になってしまうんです。だから、慣れるまでもう少し待ってもらえませ……待って、もらえないかな?」

 そう言って微笑むと、優弥はパアッと笑顔になった。可愛い。

「……優弥、授業」

「ほんとだ! じゃあまた今度、ライン交換しようね!」

 「ばいばーい!」と元気に手を振って走り去っていく優弥。その後ろに静弥もついて行って、私も手を振り返した。

「……さて、私も教室行こうかな」

 そう、独り言を呟いて、私は教室へと足を運んだ。


   *  *


 放課後。
 家で私服に着替えてから、お店へ行く。

 ――桜華組のみんなと出会った『Ruo』は、会員制のカフェらしい。

 会員さんと暴走族について情報共有したり、時には暴走族を倒すために手を組んだり……普通に雑談することもあるって、ラインで伊織が説明してくれた。

「……おい」

 スマホを開きながら歩いていると、後ろから声をかけられた。

「?」

 私に話しかけてるのかな?
 そう思って後ろを振り向いて、話しかけてきた人の顔を見た瞬間。