桜の舞う夜、彼らは


優弥が驚いた声を上げる。

「すごいなぁ。俺、この前の家庭科の授業で、ハンバーグ生焼けにしちゃったんだよなぁ」

「生焼けって……逆にすごいですね」

どうやったら生焼けになるんだろう。赤いまま皿に盛ったとか?

(……ていうか、家庭科の授業で、ハンバーグ?)

それ、最近したような気がする。

「あの、優弥と静弥の学校って……」

北野高校(きたのこうこう)だよ?」

「……は?」

嫌な予感はした。したけども……!!

「同じ、学校なんですね……」

「え、そうなの? やったーっ! 学校でも鈴ちゃんと会えるーー!」

「……鈴でいいですよ、優弥」

「そう? じゃあ鈴って呼ぶ!」

まさか学校も一緒なんて、全然気が付かなかった。
その後も、沢山みんなと喋って……気がついたら、午後八時になっていた。

「……そろそろ帰りますね」

「えー、帰っちゃうの?」

「流石にこれ以上お世話になるわけにはいかないので……お邪魔しました」

私が頭を下げると、皆が「バイバイ」とか「また明日」と言ってくれた。

そのままお店をでた後、私は軽い足取りで帰路についた――。