君の隣。



勇斗とはその後もよく連絡を取り合っていて
学校が休みのとき時間が合えば会うこともあった


会うと言ってもデートという感じではなくてお互い必要なものを一緒に買いに行ったり観たい映画があったらお互いに誘って一緒に見たりしていた


その関係が心地よかった



一緒に出かけたある日の帰り道
勇斗と肩を並べて歩いていると勇斗が足を止めて


「柚那、
この関係が崩れるのが嫌でなかなか言えなかったんだけど
俺、柚那のことが好きなんだ
俺と付き合って下さい」



…勇斗の気持ちに全く気づいていなかった
わたしは一瞬固まってしまった

でもわたしの気持ちは決まっていた

「勇斗、ありがとう
でもごめんなさい
うまく説明できないんだけど、勇斗は明里の元カレっていうのがどうしても引っかかって…
勇斗と明里もお互いもう相手に気持ちは無いのかもしれないけど知らないうちに傷つけてしまうんじゃないかと思って…」



いろいろ考えると勇斗と付き合うことはできなかった


「柚那の言いたいことちゃんと伝わったよ
それに柚那は多分そう言うだろうなと思ってた
…うん、ありがとな

"このまま俺と疎遠になるのかな?"とか考えてるだろ?
柚那がいいなら今までみたいな関係でいたいと俺は思ってるよ」


「…勇斗はそれでいいの?なんか勇斗を傷つけてない?
わたし、勇斗に甘えすぎてない?」


「そんなことないよ、
なんか前もこんな話したかもしれないけど関係を崩したくないし気まずくなりたくないんだ」


「うん、ありがとう」


勇斗はどれだけ優しいのだろう
きっとわたしは梨花とのことで変にトラウマになっていて友達を傷つけて失いたくないと思っているし、
もしかしたら強がって"付き合えない"と言ったのかもしれない

《どれだけ頑固なの?!》と周りの人からはきっと思われるだろう
だけど自分で自分の気持ちに蓋をしたことその意思を曲げることはできなかった