家に着いた瞬間、わたしは璃央の手からすっと手を抜いた。
「送ってくれてありがとう。
でも、もう道ほんとに覚えたから明日からは一人で大丈夫」
「分かったよ」
そう言う璃央の顔は笑っているのにどこか悲しそうで、
なんだかひどいことを言っているような気分になる。
そんな少し申し訳なさを感じていると不意に背後から明るい声が響いた。
「あら、璃央くん、久しぶりね」
「ママ」
振り向けば、スーパーのビニール袋を肩にかけた母が、にこにこと手を振っていた。
袋の中からは春キャベツやいちごパックが覗いていて、春の匂いがふわりと漂う。
「こんにちは」
「優愛のこと送ってくれたの?
ちょうどいいわ。今からごはん作るところだから食べていって」
「やった~。優子さんの料理おいしいからな~」
璃央が嬉しそうに言うと、ママは顔をほころばせながら、
「あら、嬉しい。やっぱりモテる男は褒めるのも上手ね~」
なんておどけてみせる。
そんな2人のやり取りに、
さっきまでのモヤモヤを置き去りにされた気分になりながら、
わたしはひとつ大きくため息をついた。
「送ってくれてありがとう。
でも、もう道ほんとに覚えたから明日からは一人で大丈夫」
「分かったよ」
そう言う璃央の顔は笑っているのにどこか悲しそうで、
なんだかひどいことを言っているような気分になる。
そんな少し申し訳なさを感じていると不意に背後から明るい声が響いた。
「あら、璃央くん、久しぶりね」
「ママ」
振り向けば、スーパーのビニール袋を肩にかけた母が、にこにこと手を振っていた。
袋の中からは春キャベツやいちごパックが覗いていて、春の匂いがふわりと漂う。
「こんにちは」
「優愛のこと送ってくれたの?
ちょうどいいわ。今からごはん作るところだから食べていって」
「やった~。優子さんの料理おいしいからな~」
璃央が嬉しそうに言うと、ママは顔をほころばせながら、
「あら、嬉しい。やっぱりモテる男は褒めるのも上手ね~」
なんておどけてみせる。
そんな2人のやり取りに、
さっきまでのモヤモヤを置き去りにされた気分になりながら、
わたしはひとつ大きくため息をついた。

