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「初日から散々だよ」
昼の12時過ぎ。
始業式ということで、この日は午前中で終了。
「まぁ、璃央先輩と関わる以上しょうがないね」
わたしの愚痴に他人事みたいに返すのは中学からの親友・吉木 真弓。
「他人事だと思って・・・」
「他人事だからね」
にやりと笑われて、ちょっとむくれる。
同じ高校には来れたのに、残念ながらクラスは別。
もし同じクラスだったなら、きっと真弓が間に入ってくれて、あんな質問攻めに遭うこともなかったのに。
ちらりと校舎の上の方を見上げると、青空の中に、ぽつぽつと花びらが舞っている。
そんな中で、ふと気を抜いた瞬間。
「それで、璃央先輩とは付き合ってるの?」
「ちょっと、真弓までやめてよ!」
ぷくっと頬をふくらませた瞬間、不意に背後から声が割り込んでくる。
「なになに、俺の話?」
「うわっ」
わたしが嫌そうに振り返ると、璃央がいつもの悪戯っぽい笑みを浮かべて立っていた。
「だからその反応傷つくって」
「あぁ~!お久しぶりです。璃央先輩!」
真弓はにっこり笑顔で挨拶する。
「久しぶり♪」
2人の穏やかなやりとりに、わたしは一人むすっと璃央を睨む。
「何?」
「何じゃないだろ、なんで置いてくんだよ。迷子になったらどうすんの?」
その言い草にムカッとくる。子ども扱いどころか、完全にバカにしてる!
「大丈夫です!真弓と帰るし、もう道も覚えてるし!」
強気で言い返したその瞬間。
「あ~、優愛ごめん!そういえば、わたし彼氏と約束してたんだった」
「えっ、ちょっと真弓。あんた、彼氏なんていない・・・」
言い終わる前に、真弓はひらひらと手を振って、校門の先、桜並木の方へと駆けて行った。
「あ〜、気遣わせちゃった」
璃央の方をチラッと睨んで、わたしは早足で歩き出す。
「優愛」
「なに?付いてこないでよ」
「いや、そっちの道じゃない」
「・・・」
言われてみれば、確かに行きは通ってない・・・気がする。
わたしはくるりと方向転換し、何事もなかったかのようにもう一方の道を歩き始める。
その背中越しに璃央の笑い声が響いて、頬が熱くなる。
うぅ〜、恥ずかしすぎるよ、わたし。
気まずさを隠すように、速足で歩いていると、ふいに手を取られた。
「なにっ、離して!」
「ダメ〜。手繋いどかないと、優愛すぐ違う道行っちゃうだろ」
「だからって、別に繋がなくてもいいでしょ!」
振りほどこうとするけど、璃央の手はびくともしない。
春の風がふわりと吹いて、桜の花びらが二人のまわりを舞った。
「何、恥ずかしがってんだよ。昔はいつもお前から繋いできてたのに」
「いっ、いつの話してんの?!」
慌てて怒鳴ると、璃央は楽しそうに笑った。
「ははっ、優愛、顔真っ赤。優愛ちゃんはかわいいね〜」
「ムカつく!」
そう言い合いながら、結局わたしは最後まで璃央と手を繋いだまま、
桜舞う春の昼道を並んで帰ることになった。
「初日から散々だよ」
昼の12時過ぎ。
始業式ということで、この日は午前中で終了。
「まぁ、璃央先輩と関わる以上しょうがないね」
わたしの愚痴に他人事みたいに返すのは中学からの親友・吉木 真弓。
「他人事だと思って・・・」
「他人事だからね」
にやりと笑われて、ちょっとむくれる。
同じ高校には来れたのに、残念ながらクラスは別。
もし同じクラスだったなら、きっと真弓が間に入ってくれて、あんな質問攻めに遭うこともなかったのに。
ちらりと校舎の上の方を見上げると、青空の中に、ぽつぽつと花びらが舞っている。
そんな中で、ふと気を抜いた瞬間。
「それで、璃央先輩とは付き合ってるの?」
「ちょっと、真弓までやめてよ!」
ぷくっと頬をふくらませた瞬間、不意に背後から声が割り込んでくる。
「なになに、俺の話?」
「うわっ」
わたしが嫌そうに振り返ると、璃央がいつもの悪戯っぽい笑みを浮かべて立っていた。
「だからその反応傷つくって」
「あぁ~!お久しぶりです。璃央先輩!」
真弓はにっこり笑顔で挨拶する。
「久しぶり♪」
2人の穏やかなやりとりに、わたしは一人むすっと璃央を睨む。
「何?」
「何じゃないだろ、なんで置いてくんだよ。迷子になったらどうすんの?」
その言い草にムカッとくる。子ども扱いどころか、完全にバカにしてる!
「大丈夫です!真弓と帰るし、もう道も覚えてるし!」
強気で言い返したその瞬間。
「あ~、優愛ごめん!そういえば、わたし彼氏と約束してたんだった」
「えっ、ちょっと真弓。あんた、彼氏なんていない・・・」
言い終わる前に、真弓はひらひらと手を振って、校門の先、桜並木の方へと駆けて行った。
「あ〜、気遣わせちゃった」
璃央の方をチラッと睨んで、わたしは早足で歩き出す。
「優愛」
「なに?付いてこないでよ」
「いや、そっちの道じゃない」
「・・・」
言われてみれば、確かに行きは通ってない・・・気がする。
わたしはくるりと方向転換し、何事もなかったかのようにもう一方の道を歩き始める。
その背中越しに璃央の笑い声が響いて、頬が熱くなる。
うぅ〜、恥ずかしすぎるよ、わたし。
気まずさを隠すように、速足で歩いていると、ふいに手を取られた。
「なにっ、離して!」
「ダメ〜。手繋いどかないと、優愛すぐ違う道行っちゃうだろ」
「だからって、別に繋がなくてもいいでしょ!」
振りほどこうとするけど、璃央の手はびくともしない。
春の風がふわりと吹いて、桜の花びらが二人のまわりを舞った。
「何、恥ずかしがってんだよ。昔はいつもお前から繋いできてたのに」
「いっ、いつの話してんの?!」
慌てて怒鳴ると、璃央は楽しそうに笑った。
「ははっ、優愛、顔真っ赤。優愛ちゃんはかわいいね〜」
「ムカつく!」
そう言い合いながら、結局わたしは最後まで璃央と手を繋いだまま、
桜舞う春の昼道を並んで帰ることになった。

