いつも笑顔で余裕があって、
意地悪な時もあるけれど、とても優しい幼なじみ。

そんな彼がずっと自分を責めながら生きてきたなんて、思いもしなかった。

今思えば色々思い当たるところはあるのに、
璃央を好きだと言いながらそんなところは見ようとしてなかった。

そればかりか、何も知らず璃央を傷つけることを言っていた気がする。

「ごめんね・・・」

隣でスヤスヤと眠る璃央に、小さく謝った。

ーーーーーーー

鳥のさえずりが聞こえ、目を開けると窓から差し込む光が眩しい。
いつもと違う景色。

そうだ、わたし璃央の家泊まったんだった。
って、璃央がいない!

隣に璃央の姿がなくて、わたしは勢いよく起き上がった。

「璃央?!」

「うん? 何?」

ちょうどお風呂から上りたての璃央が返事をした。

髪濡れてるし、上、服着てないせいで、
なんか、なんか・・・色気がすごいんですけど!

「いや、別にっ」

耐えられず目を逸らそうとした時、
体にできた痣が目に入った。

わたしはそっとお腹辺りにできていた痣に手をやった。

「優愛?!」

「ごめんね、痛いよね」

「大丈夫。意外と痛くな、いっ・・・」

「やっぱ痛いんじゃん」

少し押したら顔をしかめて痛そうにする璃央。
昨日分かった。璃央の大丈夫は信用ならないって。

「優愛が押すから」

「そこ座って。湿布買ってきてたから貼るよ」

「いいよ、自分でやるから」

「ダメ。背中とか貼れないでしょ」

璃央について他にも分かったことがある。

自分は人にやってあげるくせに、
人にやってもらうのは嫌がること。

他人のことは大切にするのに、
自分のことはぞんざいに扱うこと。

男女問わず愛される人気者なのに、
璃央自身は自分のことが多分、嫌いなこと。

湿布を貼り終わり、傷だらけの璃央の顔を見て
ひどくそれらのことを実感する。

「はぁ~」

「えっ、なに?
なんで俺、今ため息吐かれたの?」

「だって、なんかはぁ~なんだもん」

「いや、意味分かんない」

そんな不服そうな璃央の首に手を回して抱きしめる。

「ゆ、優愛?」

「もっと自分のこと大切にしてってこと。分かった?」

「・・・うん、ごめん」

絶対分かってない。
でも、しょうがない。
そうなってしまう理由も昨日知ったから。

だから、わたしが璃央のことめちゃくちゃ甘やかして、
璃央の分まで璃央のこと大切にしてやる。

もう璃央から離れようとしたりなんかしない。

璃央への恋心はまだ消しきれてないし今後も消せるか分からない。
そばにいたらきっとまた苦しいことがあるだろうけど、
それでも璃央が一人で寂しい思いをするよりずっといい。

璃央が一緒にいれるだけで幸せって思ってくれるなら、一生璃央のそばにいる。
そう決めた。