わたしは、璃央から離れ精一杯の笑顔を作った。

「勉強教えてくれてありがとう。
お兄も帰って来たしもう大丈夫だから!」

「優愛、あの・・・」

「勢いでこのまま最後の問題は自力で解いちゃいたいし、璃央はもう帰って」

「優愛っ」

「バイトで疲れてたのにごめんね。ゆっくり休んで。じゃあ、おやすみ!」

何かを話そうとする璃央を強引に自分の部屋から追い出した。

璃央はしばらく、わたしの部屋の前に立っていたけれど、
ほどなくして階段を降りていく足音が聞こえた。

玄関のドアが閉まる音が聞こえたと同時に、堪えていた涙が堰を切ったように流れた。

「うっ、ううっ」

全部分かってた。

璃央が綾華先輩だけじゃない、色んな女の子と関係持ってることも、
その子たちのことを別に好きじゃないことも。

だけど、わたしは璃央に好きって言われても、特別に大事にしてもらえても、
恋愛対象として見てもらうことすらできない。
キスさえしてもらえない。

そんなこととっくの昔に分かってたのに。

なんで、また同じ理由で傷ついてんの。
どうして、また好きになったりなんかしたの。

叶わないって分かってるのに、どうしてまだこんなに好きなの。

2度目の失恋は幼かったあの頃よりも、苦しくて痛くて、涙が止まらなかった。