「あっ、ちょっと・・・」

そんなわたしの声も無視して、璃央は、わたしの額、瞼、そして頬へとゆっくりキスを落としていく。
一つひとつ、確かめるように。

息が止まる。
距離が近い。心臓の音が聞こえそうなほど。
そして――

「ま、待って・・・!」

少しでも動けば互いの唇が触れてしまう。
そのギリギリの距離で、ようやく璃央は止まってくれた。

「あの、離れて・・・」

「なんで?」

「なんでって、それは・・・」

「優愛、好きだよ」

「っ!」

頭が真っ白になる。
息がうまくできない。
璃央の目が、真っすぐにわたしを射抜く。

「優愛は? 俺のことまだ嫌い?」

「わ、わたしは・・・」

分かってるくせに。
ズルい、そんな聞き方。

「わたしも好き」

勇気を振り絞ってそう告げると、璃央はふっと微笑んだ。
その表情が、あまりにも優しくて、胸がぎゅっと締めつけられる。

そして璃央は、あと数センチの距離にあるわたしの顔へと近づいてきた。

あっ、わたし、璃央とキス――。