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「すいません!」
もう今日だけで何度言ったか分からない。
バイト初日。
ゴールデンウィークの店内は、家族連れやカップルでごった返していた。
そんな中、ホールを任されたわたしは自分で言うのもなんだけど、まあ無能だった。
「注文聞き間違えるし、食器は割るし、会計もミスる。
あなた一体何ができるの?」
「すいません・・・」
きつい言葉だけれど、何も間違ってない。
だからなおさら申し訳なさと情けなさで視界が滲んでいく。
「ごめん、涼子さん。優愛には俺からもちゃんと言っとくから」
わたしのミスのフォローをし終わった璃央が、わたしと涼子さんの間に入ってくれる。
「優愛、ホールは大丈夫だから洗い物手伝ってやって」
「はい!」
わたしは璃央に指示されたとおり洗い場に向かい、
大量に積み上げられた洗い物をひたすら洗ってこの日を終えた。
「今日はご迷惑おかけしてすいませんでした」
「まぁ、今日は初日だしね。疲れただろうから早く帰って休んで。
明日からもまたお願いね」
店長さんにそう言われたわたしは、もう一度だけ謝ってお店を出た。
カランカランとドアベルが鳴り、今日は大きなため息が口から漏れる。
早く家に帰りたいのに、もうそんな気力もなくてとぼとぼと歩いていると
後ろから「優愛!」と呼び止められた。
「璃央」
息が上がっていて、走ってきてくれたんだと分かる。
今日はたくさん璃央に迷惑をかけてしまった。
わたしの代わりに謝って、わたしのせいでやらなくていい仕事やって。
役に立つどころか足手まといにしかなってない。
「璃央、ごめんっ」
その言葉と同時に堪えていた涙が溢れだした。
「優愛・・・」
「ごめんなさい、いっぱい迷惑かけて」
「もう泣くなって」
少し困ったように笑いながら、璃央はわたしを抱き寄せた。
その腕の中は温かくて、安心して、余計に涙が止まらなくなる。
「だってわたし何にもできなくて。
忙しいのに怒らせてばっかりで・・・」
「大丈夫だって。今日が初めてなんだからミスぐらい誰でもするって。
涼子さんも、余裕なくてきつく言っちゃったって謝ってたし」
「うぅ、涼子さんは悪くないよ。全部、わたしのせい。
わたしがダメダメだから」
「分かったから、そんなに自分のこと責めんな。大丈夫だから」
子どもみたいに泣きじゃくるわたしを璃央は優しく包み込み、頭を撫でる。
その優しい手のおかげで、だんだんと心が落ち着いていった。
「ありがとう璃央、もう大丈夫」
「うん」
抱きしめてくれていた璃央の腕からそっと離れて、涙をぬぐう。
「明日も行けそう?もし、ほんとにつらかったら俺から店長に・・・」
「大丈夫。行かせて。
また迷惑かけちゃうかもだけど・・・」
「バカ、そんなこと気にすんな。
どんなミスも俺が全部フォローしてやるから。頑張れ」
「うんっ。頑張る」
へへっと笑うと璃央はもう一度頭を撫でてくれた。
「すいません!」
もう今日だけで何度言ったか分からない。
バイト初日。
ゴールデンウィークの店内は、家族連れやカップルでごった返していた。
そんな中、ホールを任されたわたしは自分で言うのもなんだけど、まあ無能だった。
「注文聞き間違えるし、食器は割るし、会計もミスる。
あなた一体何ができるの?」
「すいません・・・」
きつい言葉だけれど、何も間違ってない。
だからなおさら申し訳なさと情けなさで視界が滲んでいく。
「ごめん、涼子さん。優愛には俺からもちゃんと言っとくから」
わたしのミスのフォローをし終わった璃央が、わたしと涼子さんの間に入ってくれる。
「優愛、ホールは大丈夫だから洗い物手伝ってやって」
「はい!」
わたしは璃央に指示されたとおり洗い場に向かい、
大量に積み上げられた洗い物をひたすら洗ってこの日を終えた。
「今日はご迷惑おかけしてすいませんでした」
「まぁ、今日は初日だしね。疲れただろうから早く帰って休んで。
明日からもまたお願いね」
店長さんにそう言われたわたしは、もう一度だけ謝ってお店を出た。
カランカランとドアベルが鳴り、今日は大きなため息が口から漏れる。
早く家に帰りたいのに、もうそんな気力もなくてとぼとぼと歩いていると
後ろから「優愛!」と呼び止められた。
「璃央」
息が上がっていて、走ってきてくれたんだと分かる。
今日はたくさん璃央に迷惑をかけてしまった。
わたしの代わりに謝って、わたしのせいでやらなくていい仕事やって。
役に立つどころか足手まといにしかなってない。
「璃央、ごめんっ」
その言葉と同時に堪えていた涙が溢れだした。
「優愛・・・」
「ごめんなさい、いっぱい迷惑かけて」
「もう泣くなって」
少し困ったように笑いながら、璃央はわたしを抱き寄せた。
その腕の中は温かくて、安心して、余計に涙が止まらなくなる。
「だってわたし何にもできなくて。
忙しいのに怒らせてばっかりで・・・」
「大丈夫だって。今日が初めてなんだからミスぐらい誰でもするって。
涼子さんも、余裕なくてきつく言っちゃったって謝ってたし」
「うぅ、涼子さんは悪くないよ。全部、わたしのせい。
わたしがダメダメだから」
「分かったから、そんなに自分のこと責めんな。大丈夫だから」
子どもみたいに泣きじゃくるわたしを璃央は優しく包み込み、頭を撫でる。
その優しい手のおかげで、だんだんと心が落ち着いていった。
「ありがとう璃央、もう大丈夫」
「うん」
抱きしめてくれていた璃央の腕からそっと離れて、涙をぬぐう。
「明日も行けそう?もし、ほんとにつらかったら俺から店長に・・・」
「大丈夫。行かせて。
また迷惑かけちゃうかもだけど・・・」
「バカ、そんなこと気にすんな。
どんなミスも俺が全部フォローしてやるから。頑張れ」
「うんっ。頑張る」
へへっと笑うと璃央はもう一度頭を撫でてくれた。

