ーーーーーーー
「曽田くん、あの……失礼しますっ!」
「わっ!?」
璃央に「のんちゃん=曽田くん」説を告げられた翌日のこと。
9割方確信していたわたしは、曽田くんの顔をしっかり見ようと
彼の重ための前髪を思いきって指で分けた。
・・・くりくりの目。
そして左目の下にある、あの特徴的な涙ボクロ。
――やっぱり。
間違いない。曽田くんが、“のんちゃん”だ。
「の、ののの、のんっ・・・!」
言いかけた瞬間、曽田くんの手が慌ててわたしの口をふさぐ。
「しーっ!」
わたしはそれ以上は何も言わなかったけど、
そのあと曽田くんの方から、「自分が“のん”であることは秘密にしてほしい」と打ち明けられた。
もともと誰かに言うつもりなんて、さらさらなかったし。
むしろ、わたしだけが“のんちゃんの正体”を知っているという事実に、ちょっとニヤけていたくらいだ。
それから、わたしと曽田くんは休み時間にもよく話すようになったんだけど――。
「田嶋さん、聞きました? 今日久松先輩、菓子パン2個だったって・・・」
「へぇ、そうなんだ」
最初は軽く流してた。
でも次の日も、
「今日はパン1個だけ・・・」
そしてその次の日も、
「今日なんかエナジードリンクだけ。
こんなんじゃいつか倒れてしまうんじゃ・・・」
毎日のように璃央のランチ事情を恐ろしそうに報告してくるので、
逆にこちらは曽田くんが心配になってきてついに声をかけたのだった。
「ねぇ璃央。今度、わたしたちとお昼食べない?」
――それが、“ランチ会”のはじまり。
ちなみに真弓は、このことをわたしが話すと
「イケメン2人とのランチとか最高じゃん!」と誘ったつもりはなかったけど気づいたら隣にいた。
「曽田くん、あの……失礼しますっ!」
「わっ!?」
璃央に「のんちゃん=曽田くん」説を告げられた翌日のこと。
9割方確信していたわたしは、曽田くんの顔をしっかり見ようと
彼の重ための前髪を思いきって指で分けた。
・・・くりくりの目。
そして左目の下にある、あの特徴的な涙ボクロ。
――やっぱり。
間違いない。曽田くんが、“のんちゃん”だ。
「の、ののの、のんっ・・・!」
言いかけた瞬間、曽田くんの手が慌ててわたしの口をふさぐ。
「しーっ!」
わたしはそれ以上は何も言わなかったけど、
そのあと曽田くんの方から、「自分が“のん”であることは秘密にしてほしい」と打ち明けられた。
もともと誰かに言うつもりなんて、さらさらなかったし。
むしろ、わたしだけが“のんちゃんの正体”を知っているという事実に、ちょっとニヤけていたくらいだ。
それから、わたしと曽田くんは休み時間にもよく話すようになったんだけど――。
「田嶋さん、聞きました? 今日久松先輩、菓子パン2個だったって・・・」
「へぇ、そうなんだ」
最初は軽く流してた。
でも次の日も、
「今日はパン1個だけ・・・」
そしてその次の日も、
「今日なんかエナジードリンクだけ。
こんなんじゃいつか倒れてしまうんじゃ・・・」
毎日のように璃央のランチ事情を恐ろしそうに報告してくるので、
逆にこちらは曽田くんが心配になってきてついに声をかけたのだった。
「ねぇ璃央。今度、わたしたちとお昼食べない?」
――それが、“ランチ会”のはじまり。
ちなみに真弓は、このことをわたしが話すと
「イケメン2人とのランチとか最高じゃん!」と誘ったつもりはなかったけど気づいたら隣にいた。

